2023年9月 座楽会

講師:株式会社藤屋 藤井 奎子氏
演題:「藤屋の歴史と藤屋に関わった方々との思い出」
日時:9月20日
場所:THE FUJIYA GOHONJIN

藤屋の歴史と藤屋に関わった方々との思い出

長野商工会議所 女性会とのコラボレーションで、週刊ながのに連載をされていたTHE FUJIYA GOHONJINの藤井奎子さんからお話を聞く機会をいただきました。

初代・藤井平五郎の時代に加賀藩の本陣となって以来、現在息子さんの代で17代目。江戸時代はもちろん、明治以降も伊藤博文をはじめ政治家や軍人などVIPが多数訪問宿泊する格式高い宿だった藤屋。福沢諭吉からの手紙も大切に保存されているそう。

「ハイカラだった」という12代当主が1925(大正14)年、当時流行っていた西洋風の石造りに改築。それが1997(平成9)年、長野市で第一号の国の登録有形文化財に指定。受賞を受けて初めて、自分が育った建物が貴重なものであることを知ったそうです。

奎子さんが東京で学び、戻って家業を継いだ頃は市内にホテルが増え、かつて「講」で賑わった善光寺の団体客も減少傾向に。そのころ力強い存在だったのが永六輔さんで、長野に来るたびに寄ってくれ、100人集めての「トークショー」や、2日で2000人の「藤屋大博覧会」などを企画し、たいそう盛り上げてくださったそうです。芽の出かかった若い芸人を連れて来られ、ピーコさんのシャンソンコンサートは3回くらい開催、志の輔さんの落語会は今も続いていて、今年で29回目だとか。

時代はさらに団体から個人旅行へ加速し、厳しさを増す中、料理の修行をして帰ってきた17代目の息子さんが、ある日若者を2人連れてきて、ここを結婚式場とレストランにしようというプレゼンを聞かされたそうです。東京の恵比寿でもお屋敷を改築して式場にした成功事例があるというので「古い建物を大事にしてくれるなら」と2年ほど考えて承諾。2006年、新しくレストラン&ブライダル業としてTHE FUJIYA GOHONJINがオープンしました。

当初、東京からサービスを教えに来てくれた30人くらいのスタッフは、オープン後も1/3ほど残り、いまも働いてくれているそう。「お客様から、建物、料理、スタッフがすばらしいと感想をいただくけれど、最後が一番うれしい」という藤井さん。たくさんの方とのご縁、つながりで今日がある感謝の思いが端々にあふれる素敵なお話でした。

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