10年11月京都視察研修実施

平成22年11月26日(金)~27日(土) 1泊2日

行程
26日=京セラ(株)山科創業本社→京セラ(株)本社・ファインセラミック館→月桂冠大倉記念館
          →伏見界隈(寺田屋他)→木屋町「新三浦にて夕食」→京都ビスタ泊
27日=妙心寺大法院(佐久間象山墓参り))→島津創業記念館→近江屋跡地他→霊山歴史館

参加者名簿

  1. 岩野  彰【(株)岩野商会】
  2. 浅野 盛男【(株)ショーデン】
  3. 和田 直士【(株)和田正】
  4. 佐藤 満晴【博善グループ】
  5. 赤池  健【(株)や ま】
  6. 竹内 明仁【ネットワーク・コーポレーション】
  7. 古旗 文夫【(株)ビー・クス】
  8. 岩野はつみ
  9. 田幸さち世【長野商工会議所・事務局】

視察研修二日間の行程

 10年度の視察研修は、京都の京セラ株式会社様と島津創業記念館の視察と見学を中心に、京都を訪れました。二日間とも好天に恵まれたこともあり、充実した研修ができました。

11月26日

 1 京セラ株式会社様

016.png最初に、京セラ(株)山科経営研究所(山科創業本社)で、DVDによる京セラの経営哲学、京セラフィロソフィなどについて説明をいただき、稲盛ライブラリーを見学しました。

おいしい昼食をいただき、タクシーに分乗して30分ほどで本社に移動しました。20階建て本社ビルの2階に常設されているファインセラミック館にて社会環境活動の取り組みや、アメーバ経営についてわかりやすく説明をしていただき、館内では京セラ(株)様のファインセラミック技術の発展過程を丁寧に説明していただきながら見学をしました。

1階にある常設展示の京セラ美術館では、ピカソ銅版画シリーズ、現代日本画をはじめ、美術品などの貴重な収蔵品の見学をすることができました。
駅でのお出迎えをいただいてから、移動を含め長時間にわたり大変お世話になりました。中田様をはじめ京セラ(株)スタッフの皆さまの心のこもったおもてなしには参加者全員が感動を覚えました。本当にありがとうございました。

 

2 月桂冠大倉記念館

0289.png042.png

 3 寺田屋

 059.png

 

11月27日

4 妙心寺大法院(佐久間象山墓参り)

155.png

5 島津創業記念館

198.png

6 木屋町界隈

202.png 212.png
佐久間象山遭難の碑  坂本龍馬・中岡慎太郎遭難の地(近江屋跡)

7 霊山歴史館

龍馬、黒船、新選組から明治維新まで日本で唯一の総合博物館

last.png    写真はパンフから

参加者報告書

研修報告

(株)ショーデン 浅野 盛雄

京セラ株式会社の経営研究所と本社を見学させていただき、社員の方々からDVDを使って説明をいただきました。

 京セラには「京セラ フィロソフィ」と呼ばれているものがある。このフィロソフィ(哲学)は企業経営の根幹を形成しており京セラが行う企業活動、社会貢献、環境取組活動などの判断基準であり、その原動力になっているもので、社員教育の中でもこのフィロソフィが重要なファクターになっています。社員はこのフィロソフィが書き込まれたノートを所持してフィロソフィの習得に努力しているそうです。
その京セラフィロソフィとは創業者の稲盛和夫氏の稲盛語録のようなものと想像しましたが、根本にあるものは「人間として何が正しいか」を物事の判断基準におき、全ての行動が公明正大でまじめに一生懸命努力していくことの大切さを示すものです。

旧本社ビルの建物を生かした京セラ山科経営研究所(京都市山科)の一部に稲盛ライブラリーがあります。ここは創業者稲盛氏の足跡と企業哲学を学び継承することで京セラグループが21世紀も新たなチャレンジによって成長することを期して開設されています。
ここは、京セラグループが様々な産業・生活分野に係わっていることを説明できるようにディスプレーしている他、稲盛氏の生い立ち紹介、ビデオライブラリーや図書室も設けられています。

01.png本社ビル(京都市伏見区)の二階にある京セラファインセラミック館を訪ねました。
京セラが生産・販売しているファインセラミック部品等は機械装置や電子機器の部品として数多く使われていますが、一般にはなかなか目に触れることも少ないことから、ファインセラミック技術の展示や関連の産業の発展に貢献できればとのお考えで、文化事業の一環として維持されています。

20階建てほどの本社ビルは南面を全て自社の太陽光発電パネルを設置して、実際に本社ビルの使用電力の一部をまかなっています。

企業の収益活動の他で、京セラフィロソフィを社内、社外へ周知・浸透させるための経済的・時間的な努力が非常に大きいことを実感しました。企業活動の基本になるきちっとした考えを持ち、全社員が同じ意志を持って取り組むことで有効な大きな力が発揮できるのだろうと考えます。

島津製作所創業記念館

現在の本社は京都市内の別の場所にありますが、創業の場所(京都市木屋町)で創業記念館として創業者と二代目経営者の遺徳を偲ぶために開設されました。理化学機器やX線装置のほか教育用理科学機器(人体模型も)や各種の産業用試験機などが沢山展示されていました。
    科学技術で社会に貢献すること(社是)
    人と地球の健康への願いを実現する(経営理念)
とありました。

東京遷都が行われた明治初期に、衰退の危機に見舞われた京都で、「科学立国」「発明報国」を信念に起業された歴史と今に続く創業時からの経営思想を知りました。

両社を見学して、企業の根底の処で強い信念とか哲学といった、しっかりとした考えを持ち、一人一人の社員に伝えることの大切さを勉強させて戴いたいい研修会でした。

視察研修報告書

(株)和田正 和田 直士

      佐久間象山の『東洋の道徳、西洋の芸術』に学ぶ
紅葉が盛りの中、京セラ(株)様のご講演を中心とした関西視察研修に参加させていただき、誠にありがとうございます。
最初に京セラ(株)山科経営研究所では、社是、経営理念、京セラフィロソフィについてご講演をいただきました。普段は、本でしか知りえないことでしたが、特に、「〈不況に備えての予防策〉=高収益であれ。」のお言葉に、思わず息を呑みました。不況になってから不況対策をするのではなく、普段から予防策を講じておられることが、そもそもすごいことであり、その結果が高い自己資本比率であることに腑が落ちました。
続く本社での講演では、アメーバ経営の真髄の「損益計算書」をお教えいただき、セラミックショールームでは、創業50年間の製品の歴史と輝ける未来に向けての理念を丁寧にご説明いただき、改めてその迫力を感じることが出来ました。
翌日訪問した「島津製作所創業記念館」においても製品の歴史のコーナーと『処世の要道(事業の邪魔になる人:家庭を滅ぼす人)』の展示がありました。共通していることは、技術革新は大いに外の空気を入れて変化対応させていきながらも、根底の理念は、微動だにしないところであると思います。京セラ(株)の伊藤相談役がおっしゃっておられる「フィロソフィが希薄化した時に、京セラの命運は尽きる。真髄を深く実践し続けることが肝要」のお言葉は、全社員さんが「わき道にそれずに真っ直ぐ実践すれば、必ず行き着くところ(人間の真理)に行き着く。」と方向を1つにして実践されておられることでも痛感致しました。
そして、妙心寺のご住職の講話の中で、約150年前に佐久間象山が唱えていた『東洋の道徳、西洋の芸術』をご説明いただき、「あっ、これだ!」と今回の研修が全て繋がった思いが致しました。世の中のグローバル化が進む中でも、真理は変わらないから、自信をもって東洋の道徳(経営理念・行動指針等)を高らかに掲げながら、西洋の技術(新しい商品・サービス)をもって経営に当たりたいと強く感じた次第です。
このような機会をいただきまして、岩野代表幹事を始め、京セラ(株)の皆様、関係各位に心より御礼申し上げます。有難うございます。

01.png

京セラ(株)山科経営研究所:「天敬愛人」の額の前で

京都視察研修を終えて

ネットワーク・コーポレーション
代表 竹内 明仁

 今回の異業種交流会主催の視察研修に初めて参加させていただいた私にとって、京都という地において自分の考え方の中に再認識という形で4つの感慨深い成果を得られる結果となりました。

1 4つの成果内容

(1)普遍的に貫き通す事は徹底した反復訓練と根気が必要な継続性によって初めて成果となるという事です。しかもそれは中途半端な方法論ではなく、論理を身体で覚える実践的な体感を通じて「使える」というレベルに達するものであるという点。
(2)「おもてなしの精神」は人の心に心地良い響きと共に余韻を残すという事を目の当たりにした事です。
 人として「こうありたいものだ」と反省させられました。
(3)京都の歴史や景観に触れた事によって、改めて日本文化の重要性や奥ゆかしさ、日本人の集中力と創意工夫から生まれる緻密性を感じ取れた点です。
 日本人が本来持つ長所は、時代を超えても自信を持って自分の武器に変えていかなければならないという想いを取り戻した点。
(4)小売・サービス業において、慇懃無礼な態度ながら「京都」という特別な場所から見下す視線と態度を感じてやや不快になった事があったのは唯一残念な部分です。
 好調な時ほど"謙虚に初心忘るべからず"は常に肝に銘じるべき格言だと痛感したと共に、繁忙時ほど"冷静な頭脳できめ細かい対応の大切さ"も常時意識の中に組み込んでいないとその場面に遭遇した時に実践不可となる事。
 "人の振り見て我振り直せ"ですね!

2 成果内容の詳細について
(1)に挙げた内容は、京セラさんの経営研究所と本社での説明を聞いた結果、異口同音にぶれなく述べていた担当者の姿を見て強く感じました。人間の記憶は忘れやすいものであり、同じ意識を普遍的に植え付ける為には繰り返し訓練を続ける事によって定着するという事、その意識を継続的に持ち続ける為には定期的なフォローが不可欠である事の重要性を痛感しました。

京セラ山科経営研究所 プレゼンルームにて
京セラ山科経営研究所 プレゼンルームにて

そして皆が同じ意識をずっと共有し続ける為には、理解しやすい内容で徹底的に叩き込むのが目的成就の近道である点が強調されていたような気がします。
年齢と共に記憶力の低下と理解力の柔軟性に手を焼いている自分自身を奮闘させる良き刺激を受けたと感じている所です。
これと同じ定義を島津製作所さんの創業記念資料館でも感じました。
小学生以下が無料見学出来るこの施設は、「島津チェックシート」という施設内の歴代製品を問題集形式で組み合わせて当てるよう工夫されており、実際に製品に触れる体験学習もあり、小学生達が楽しみながら見学出来る仕組みを取り入れていました。
単に見学するだけではなく、記憶に残る配慮がなされていた事が強く印象に残りました。
実際に声を出しながら楽しそうに見て回る彼らには確かな充実感があるように感じられ、こちらまで気分が高揚したのを覚えています。 

02.png
島津創業記念館

また、その結果を出口で受付担当者がフォローしていた点も好感が持てました。京セラさん、島津さんの双方に共通する部分として、メーカーが時代の潮流に合わせて成長して来た軌跡は創意工夫であり、その根底にはぶれない普遍の経営哲学が存在しており、それが時として画期的な発想や発明に繋がるーその源流を垣間見た気がしました。

(2)の「おもてなしの精神」については、おそらく参加された全員の方が同じような感想を持たれたのではないでしょうか?

(3)は本格的に京都の歴史建造物や企業の記念館及び最盛期の紅葉を見るのが初めての私にとっては大変刺激的で、日本の歴史の重さを実感しました。
 宗教や寺院に関しては全く無知の私にとって、妙心寺があれ程多数の分院・分庵から成り立っている事や佐久間象山の墓がここにある事も初めて知り、感慨深いものがありました。

03.png
佐久間象山の墓

 佐久間象山については事前に定例会での講演を通じて概要を知り得る機会を頂いていただけに、このように連動した視察は更に有意義でした。
 佐久間象山に関する書物を読んでみたいという想いが最近脳裏にあり、情報が入手し難い当時において地理的な不利を考えたら彼の思想や活動は画期的だったと予想出来ますので、地元にこのような先見の明を持った"達人"がいた事を誇りに思います。

景観の中では、妙心寺大宝院の中庭で落ちたもみじが敷き詰められた状況を、茶室との相乗効果で楽しむという奥ゆかしさは正に「いとをかし」の世界だと思いました。
 もみじにも真赤な色と橙色があり、これが黄色や緑の葉と絶妙なコントラストを描いて天空に向かって伸びている姿は感動の風景でした。
 地元の紅葉も綺麗ですが、私の感じる限り、このもみじの赤が少ないところが相違点ではないかと思いました。

04-01.png 04-02.png
妙心寺茶室からの紅葉  妙心寺落もみじ
05.png
京セラ本社ファインセラミック館にて

「京セラ山科経営研究所」や本社の「ファインセラミック館」、「島津創業記念館」での説明や見学は、これらの企業が様々な創意工夫により数々の有能な製品を世に送り出せて来た理由は、当時の日本人の開発時の集中力と量産体制になっても衰えない緻密性にある事を忘れてはならないと思い、自分自身に言い聞かせる次第でした。
 京都という地は日本の歴史の中心地でありながら最先端企業が割と多いのも一つの特徴で、京セラ・島津製作所を始め、任天堂・村田製作所・堀場製作所等名立たる企業が本社を置いているというのはどのような縁なのか不思議です。
 もし京都に戦前戦後を問わず幕末維新のような風潮が残存していたとするとこの事実は繋がるようでもあり、そんな幻想を抱かせるような雰囲気がこの街にはあります。
 皆さんはどのように思われたでしょうか?

06.png
寺田屋

明治維新前後の歴史を振り返って改めて思い起こした事は、個人的な見解に過ぎませんが、260年間の徳川幕府時代は長過ぎたという事です。厳密に言うと、「鎖国政策」を延々と継続したのが誤りに思えて仕方ありません。
 これが日本人の持つ閉鎖性に歴史的に連動していると感じるのは私だけでしょうか?

(4)はある程度仕方がないのですが、歴史の重みを盾に取り、「京都」というブランドの
 上から目線を感じる場面を何度か目の当たりにしました。
 マナーの悪い観光客等もいますので一概に批判の対象にはなりませんが、残念ながらそこには「おもてなしの精神」はあまり無かったように見えました。
 慇懃無礼とは形式上は問題ない振る舞いとは言え、そこには「おもてなしの心」は存在しません。
 韻を踏んで来た歴史の街だけに、今回学んだ企業の姿勢とは裏腹だった点は残念でした。

※最後に、今回の視察研修はプログラムの内容と言い構成バランスが抜群で、とても楽
 しめました。
 また、参加された会員の方々と長時間交流出来た事は、新参者の私にとっては大変有
 意義な時間となりました。
 和田副代表幹事を筆頭に、今回の企画に携わった関係者の方々の労に深く感謝したい思いで一杯です。素晴らしい研修をどうもありがとうございました。

07.png
妙心寺にて