17年4月例会

講師:(株)三英 代表取締役社長 三浦 慎 氏

演題:「オリンピック公式仕様台になるまでの道程 〜リオ五輪「卓球台」の誕生〜」

日時:平成29年4月19日(水) 18:00〜

場所:やま茶屋

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4月の例会は、当会会員の飯田監事(日本体育産業(株))のご紹介により、オリンピックのサプライヤーに3度選ばれた(株)三英 代表取締役社長の三浦慎氏を講師にお迎えして、「オリンピック公式仕様台になるまでの道程〜リオ五輪「卓球台」の誕生〜」をテーマにお話しいただきました。

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「オリンピック公式仕様台になるまでの道程
〜リオ五輪「卓球台」の誕生〜」

(株)三英について

千葉県流山市に本社を置く。
卓球台を専門に製造し、その他、公園施設・遊具、スタジアムベンチ、フィットネスマシンなどの製造・販売を手がけている。

  • スポーツ事業部・TTF事業所(卓球台・卓球関連備品の製造・販売)
  • 景観事業部・テクノサービス事業部(公園遊具・修景施設の総合メンテナンス)
  • パラマウント事業部(スタジアムのトータルコーディネート)

三英の前身は、卓球台メーカーに材木を卸していた祖父が営む材木店。
1957年、千葉県流山市に自社の卓球台専用工場を建設。
それまでの桂材を使った単板の卓球台は、温度や湿気、乾燥具合によって木が反ったり、
隙間が空いたりしていたが、反りや狂いの少ない日本初の合板による卓球台を開発する。

【バルセロナオリンピック(1992年)サプライヤーに選定】

1988年ソウルオリンピックから、卓球が大会正式種目になる。
韓国製の卓球台が使われたが、品質に問題があった。
1991年、三英は初めて国際大会へ製品供給する。
濃いグリーンの卓球台が主流の中、世界初の鮮やかなブルーの卓球台を提供。
卓球の“暗い”イメージを払拭し、イメージアップ→テレビ映りも良く、一気に普及。
そして、1992年バルセロナオリンピックのサプライヤーに選定される。
卓球台の供給だけでなく、メーカーとして大会運営をサポート(脚部にモニターを設置し広告枠に利用してもらう)。
「オリンピックで選定されること=世界の頂点を極めること」
最高の卓球台として認めてもらえたことで、名誉と誇りを持つことができた。

【バルセロナオリンピック(1992年)での反省】

  • オリンピックを機に“売る”という目的を持っておらず、製品供給したことで満足し、その後の販売戦略に結びつけられなかった。
  • 輸出経験が無かったため、船で輸送中、コンテナの温度が一気に上昇したことにより、湿気を含み天板に反りが発生、輸送失敗を招いた。
  • 国際舞台での交渉力を持っておらず、契約通りのロゴを表示したが、IOCの査察により一夜にしてロゴが小さくなってしまった。
オリンピック公式用具スポンサーに選ばれるために必要なこととは?
  • 企業の安定性(大会開催よりかなり早く決定するため、大会までの間様々な負荷に耐えられる力)
  • 品質
  • 過去の大会使用実績
  • 企画力
  • 国際的な交渉力(積極的な発信力)
経験・反省、選考基準を踏まえて次のオリンピックへ
  • 2009年:競技団体に打診
    2012年ロンドンオリンピックは中国企業で決定済みと知り、
    即、2016年リオオリンピックに向けてブラジル卓球協会とコンタクトを取る
    製品コンセプトの企画開始
  • 2010年:イニシャルデザインを元にIOC、ITTFへプロモーションを展開
  • 2012年:リオオリンピックオフィシャルサプライヤーの内諾を受ける

【リオオリンピック(2016年)での挑戦、「infinity」の誕生】

  • 木製の脚で和のテイストを取り入れる
    「開催国ブラジルには日系人が多く移民している。移住当時、大変苦労した現地での生活だが、ちょっとしたスペースがあればできる卓球は日々の楽しみであった。そうして、日本人がブラジルへ卓球を持ち込み普及した。」という当時の話を聞き、リオオリンピックへ提供する卓球台には日本らしい和のテイストを入れたいと考え、スチールではなく木製の脚にした。
  • 新色「レジュルブルー」の誕生
    卓球台の色は、日本ではブルーだが、ヨーロッパではグリーンが主流。
    どちらのユーザーにも喜ばれる色、選手が見やすい色、テレビ映えする色を考慮し、ブルーにもグリーンにも見える鮮やかな色、「レジュブルー」が誕生した。
  • 被災地復興への思いを込める
    試作中に東日本大震災が発生。復興への願いを込めて、岩手県宮古市のブナ材を使用。そして、振動抑制の板を入れて、脚を強化した。
    また、復興への思いを込め、「新しい生命」というメッセージを新色「レジュブルー」に重ねて発信。
リオオリンピックを終えて感じたこと
  • 技術は嘘をつかない
    勝つか負けるかギリギリのせめぎ合いが技術である。故に、技術を磨く地道な積み重ねが必要。
  • モノづくりにはストーリーが必要
    どんな思いで作られたのか知ることで、より共感してもらえる。
  • 作ったモノを認めてもらう=売るためには仕掛けが必要
    製品供給して終わりではない、その先の目的を持って挑むことが大切。

(株)三英の夢

世界で認められて初めて一流、世界と戦って初めて日本でも開花する

文化の違う世界、価値観の違う人と触れ合うことはこの上なく楽しい

日本の良さを知ることができる

「日本の三英」から「世界の三英」へ
三英の夢は「どこでも三英!」

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2020年、東京オリンピックの公式サプライヤーにも選定されている三英。自国開催の舞台で、どのような卓球台を魅せてくれるのでしょうか。「祖父、父と築いてきた会社を礎として、より楽しいもの、より創造的なものを提案していく。世界に認めてもらうことが私の使命であり、夢です。」と話す三浦氏。その眼差しは、3年後の東京オリンピック、そして、三英の未来をまっすぐに見据えていました。
三浦氏の話を聞き、オリンピック観戦の新たな楽しみが増えたことでしょう。三英の卓球台で日本選手の活躍を祈ります。