17年10月例会

講師:株式会社 山翠舎 代表取締役社長 山上 浩明 氏

演題:「古木店舗数日本一の実績 古民家の様々な活用法を探る」

日時:平成29年10月24日(火)18:00~

場所:やま茶屋

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10月例会は、当所会員の奥山副代表幹事のご紹介により、(株)山翠舎 代表取締役社長 山上浩明氏にご講演いただきました。
山翠舎では、古民家解体時に出た「古木(こぼく)」を使った店舗デザイン・設計・施工、さらには古民家の移築・再生事業を行う長野市の会社。身近な例では、JR長野駅ビルMIDORIの2階、豪壮な鉄砲梁が印象的な「信州くらうど」の店舗デザイン・施工を手掛けられています。今回の講演では、山翠舎が扱う「古木」の魅力や店舗づくりの上で大切にしていることなどを語っていただきました。

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古木店舗数日本一の実績 古民家の様々な活用法を探る

山翠舎(さんすいしゃ)について

1930年に創業。本社は長野市。 もとは建具屋からはじまり、住宅建築、店舗内装業を経て、古木を使った店舗デザイン・設計・施工までをトータルで請け負うように。 2006年から古民家解体古木販売事業をスタート。 大町市には800坪に及ぶ日本最大の古木保管施設を所有(常時約3000本を保管)。 近年、古民家の移築、再生事業の取り組みを開始させる。

・山翠舎の実績「2つの日本一」

1.古木の在庫数、全国No.1(山翠舎調べ)
2.古木を使った店舗の設計・施工数、全国No.1、累計300件に及ぶ
(店舗デザイン.COM調べ)。

古木とは

古木(こぼく)(KOBOKU) ※特許出願中
古民家を解体して得られる古材の中でも、人々の愛着がこもった上質で立派なもの、
いわば“ストーリー性”のある古材を山翠舎では「古木」と定義。
通常解体であれば、ゴミとして廃棄処分されてしまう古木を再活用することで環境への負担を減らすだけでなく、日本文化の継承につなげる。

 

古木・古民家が再び輝けるステージを

想い出の詰まった大切な古民家でも、持ち主の多くが維持・管理に悩まされている。実際に山翠舎にも持ち主から数多くの相談が寄せられる。
そこで山翠舎が解体を請け負い、古木の柱や梁、建具などを丁寧に取り外して買い取るほか、近年では古民家の「移築・再生プロジェクト」を提案している。
山翠舎が間に立ち、古民家を使いたい個人・事業者古民家を手放したい、活かしてほしい持ち主をマッチングさせることで、古民家が再び輝くステージを生み出す。

・日本初 山翠舎だけの「古木トレーサビリティ」

買い取った古木は、巨大倉庫で保管。釘が残っていないか等一本一本丁寧にチェックし、「どこの古民家の、どの部分で使われていた素材なのか」経歴や由来までを記録管理。

印象に深かった施工例

・竹林庵 みずの別邸(南熱海)

飯山市富倉集落の古民家を移築し、旅館に改装。
屋主として古民家を守ってきた丸山ハナ子さん。解体の日のことを思い出すたびに「切なくて、切なくて、今も切なくて」と涙が浮かぶそう。
しかし、馴染んだ柱の傷も穴も質感もそのまま、旅館の一部として生き続けていると知り、「これでよかった、これでご先祖さまに顔向けできる」と喜んでくださっている。

・漬物 坂井善三商店(東京)

「京都の漬物屋」をイメージし、新たに畳敷小上がりや中二階を作る。
息子に店を譲った後、あまり店に顔を出すことがなかった先代が、改装後は毎日お店に来て小上がりでお客様との会話を楽しむように。

・栂池ビジターセンター

日本有数の高層湿原である栂池自然公園の入り口にあるビジターセンター。
改装工事で使用されたのは、神城断層地震で倒壊してしまった地元・小谷村の古民家の材。
豪雪地帯であるこの地で長年風雪に耐えてきた豪壮な古木は、村の歴史を物語る存在として再び輝いている。

300店舗の実績から分かる大切なこと

クチコミしやすくなる、友人に紹介したくなる店づくりには以下の要素が大切。

〇ストーリー性(古木が持つ由縁)
ひとつとして同じものはなく、家主の想いやエピソードが刻まれてきた古木・古民家を活用することで、ストーリーを持った店舗づくりができる。

〇コンセプト設計(オーナーの意図を反映)
奇をてらったデザインではなく、「オーナー様の想いを尊重するデザイン」が信条。
オーナー様がこれから作っていきたいストーリーに沿った店づくりを意識。

〇つくり(デザイン、施工)
「デザインしすぎないデザイン」を心がけている。
古木の個性や魅力を失わせるような過剰な演出は行わない。

今後の展望① kobokuエコサイクルを発展させていきたい

古木はみんなが幸せになる資源
古木は、提供する人、提供される人など関わる多くの人が利益を享受できる数少ない「地球にやさしいエコな素材」。
古木の良いサイクルをもっともっと広げていきたい。

今後の展望② 古民家活用で地域活性化

荒削りの大黒柱や鉄砲梁などは、新築の材ではまず見ることができない。
古木・古民家を活用することで、目の肥えた消費者に対して印象を残すことができる。差別化につながる。
長野県には、地域の活性化や観光振興に一役買ってくれそうな古民家がまだまだたくさん眠っている。
これらを然るべき計画のもとで活用・運用していくことで、さらなる魅力的な観光都市を形成していけるはず。

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「古木」のように、時代の流れとともに淘汰されてしまうものも、誰かにとっては二つとない「宝」になるのかもしれない―。
発想の転換で、新たな価値が生まれることを教えていただいた貴重な講演でした。
もともと山翠舎に入社する前は、古民家とは全くかけ離れた「IT業界」の第一線で活躍されていた山上氏。
今後も斬新な発想と確かなビジネスセンスで、失われつつある日本の古民家に新たな命を吹き込んでいってくださることでしょう。
山上氏の益々のご活躍を祈念いたします。