16年3月例会

 講師:長野大学企業情報学部教授、
          長野県デザイン振興協会理事 禹 在勇(ウ・ジェヨン)氏

 演題:「これまでのデザインとこれからのデザイン」

 日時:平成28年3月16() 1800

 場所:やま茶屋

 

2016年3月の例会は、当会会員の奥山氏のご紹介により、長野県の地域デザインの分野をけん引される、長野大学企業情報学部教授の禹 在勇氏にご講演をいただきました。

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【講演概要】

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◆デザイン(=意匠)の概念

「意」・・・心の願いを音に表す

「匠」・・・形にする

つまりデザインとは、人の心の中の願いを形にし、幸せを生み出すこと。人の心から出発し、心へ帰結していく活動である。


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これまでは、大量生産・大量消費の時代で「モノ」ばかりがあふれ、そこに人の想いや心が欠けていた。これからは、社会・人間・文化と強い関わりを持ち、「コト」(=こういう風にしたいという願い・想い)から「モノ」を作ることが求められる。

例えば同じお椀でも、プラスチックのお椀は、たくさん作り、たくさん消費してもらうために作られているもの。言い換えると、「作り手の論理」によるもの作りである。

 

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一方、輪島塗のお椀は、口当たりの良さ、椀物のあたたかみを逃がさない構造など、使う人のことを考えぬかれたものとなっている。いわば「使い手の論理」によるもの作りである。

デザインする者は、「作り手」でなく「使い手の論理」によるもの作りに立ち返り、相手の立場になってもの作りを進めなければならない。

 

 

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そのような時代の中、「長野」という地域において大切にしたいと考えているのは、以下の2つのデザイン領域。


○サービスデザイン

Ruralデザイン(農業デザイン)

 

サービスデザインは、「思いやり」や「おもてなし」というものを改めて考え直し、物理的なモノのみならず、「心」や「サービス」さえもデザインするという、全く新しい領域である。「ヒトとヒト」「ヒトとモノ」「ヒトと組織」など、人間を中心としたデザイン領域である。

 

Ruralデザイン(農業デザイン)とは、その地域ならではの特産品を商業ベースにのせていくこと。「栽培」から「加工」「販売」までの一連の流れをトータルでデザインしていくことである。それにより、豊かな自然環境や、清潔な農村が保たれ、観光・居住の面で人々を惹き付ける、魅力ある地域を創造することが出来る。

 

この2分野のデザインを特に大切に考える事で、より魅力ある長野という地域を育てていきたい。

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違う者同士がかけ合わさる事で、環境に対して強い種ができるように(=異花受粉)、様々な人間同士が集まるこのような異業種交流会という場所の意義は大きい。ここから新しい流れを創っていけたらいいのではないか。

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「相手の立場に立って」という先生の言葉通り、講演の間じゅう壁に投影されたスライド1枚1枚にも工夫がこらされていました。動きのある中に先生の手書きの文字が随所にちりばめられ、より聴衆を楽しませたいというサービス精神や、禹先生の暖かな人柄があふれる、印象的な講演でした。

 

当会の可能性を広げる嬉しいお言葉もいただき、ありがとうございました。
禹先生の今後のご健勝と、ますますのご活躍をお祈りいたします。